2月8日現在、NCAV式・NNWC式ネットネット株の1つにタイガースポリマー (4231)という東証スタンダード銘柄があります。
家電用ホースでも高シェアを誇る、ホース・ゴムシート自動車用部品の大手メーカーです。
具体的には、以下のような商品を製造販売しています。
- ホース(デリバリー・サクションホース、ダクトホース、土木・建築専用製品、家電用ホース)
- シート(天然ゴムシート、合成ゴムシート、シリコン・フッ素ゴムシート、ウレタンゴムシート、ゴム成形品)
- 押出製品(シリコーンゴム、フッ素ゴム、メディルチューブ)
- 型成形品(ゴム成形品、精密成形品、自動車部品、家電用ゴム成形品)
タイガースポリマー(4231)は、2月8日に決算を発表し、前年同期比で売上高が17.4%の増収、営業利益が△93.7%の減益を計上しました。
このタイガースポリマーは、最新の財務データからして、引き続きホールドできる銘柄なのでしょうか?
あらためて、以下の6つの観点から、考慮してみました。
目次
当企業の資産内訳(NNWCの計算式適用後)を見ると、現金が119億円、売上債権が90億円相当額に達しています。



売上債権がやや多くなっています。海外売上高も多く、中国が15.4%を占めていることから、やや注意が必要です。
負債は多いものの、有利子負債倍率は低水準であり、問題はありません。また、長期借入金の利息は0.46%で健全です。



時価総額をNNWCで割ったネットネット株指数(P/NNWC)は、0.53になり、NNWC式ネットネット株に該当します。



過去6年間のNNWCの推移を見ると、増加傾向です。



また、NNWCネットネット株指数の推移を確認すると、過去6年で最も割安水準で推移しています。2018年頃までネットネット株指数が1.0以上で推移しており、バリュートラップに陥っている可能性は低いようです。



NNWC式だけではなく、NCAV式でもネットネット株に該当(指数0.50)しています。
売上高は上昇トレンドをたどっています。



営業利益を見ると、1999年以降、赤字を計上したことがありません。



過去10年間で、BPSは1.73倍に成長しています。



ROEは、好況期には7%を超える水準に達しています。



営業キャッシュフローは安定してプラスで推移しており、フリーキャッシュフローもプラスを維持する年が多く見られます。



そのため、増配やさらなる自社株買いなどの株主価値向上策の実施を期待したいところです。
1998年以降、配当支払実績を持っており、無配に転落したことはありません。配当利回りは2.89%です。



東日本大震災が発生した2011年3月の月間騰落率は△6.2%に留まる一方、コロナショックが発生した2020年2-3月の2ヶ月間の期間騰落率は△20.25%に達しており、必ずしも暴落耐性がある銘柄とは言えません。
買収防衛策としてポイズンピルを導入しています。
海外投資家の割合は7.3%に留まっており、アクティビストの介入による株主価値向上はあまり期待できない銘柄です。
2022年2-3月に発行済株式総数(自己株式を除く)の0.49%の株式を取得する自社株買いを実施しました。
ネットネット株指数的には割安で、営業利益率や純利益率が一定の水準を維持している点は評価できます。
買収防衛策を導入している点や中国の売上高比率がやや高い点は気になりますが、景気回復局面では、株価の回帰性に期待を寄せることができ、下値も極めて限定的であることから、個人的には、引き続き、ポートフォリオに組み入れておきたい銘柄です。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。