昭栄薬品(3537)の銘柄紹介 ― 花王株を大量保有するネットネット株

かぶ1000式ネットネット株の1つに昭栄薬品(3537)というJASDAQ銘柄があります。

2月8日に昭栄薬品は、2022年3月期の営業利益を従来予想の1.52億円から2.64億円(前期実績1.57億円)に上方修正しました。界面活性剤業界の生産・販売活動が堅調に推移していることが要因のようです。

この昭栄薬品は、最新の財務内容から、ネットネット株投資家として保有できる銘柄なのか、調べてみたいと思います。

以下の7つの要素を1つずつ確認してゆきます。

①業種

昭栄薬品は、環境負荷が低いパーム・ヤシ等の天然油脂の化学商社です。

したがって、個人的に投資対象から外している不動産業・金融業銘柄や非ESG銘柄には該当しません。

②ネットネット株指数

当企業の高換金性資産の内訳を見ると、売上債権が53%を占めています。海外売上高の集計は公表されていないもののそれほど大きな割合を占めている形跡はなく、売上債権の割合が大きいことは大きな懸念材料ではありません。

有価証券には、花王の69.4万株などが含まれています。花王株が軟調に推移している点がやや気がかりではあります。

負債の内訳を見ると、有利子負債は1%に留まっています。

流動資産から総負債を除いた正味流動資産は59.5億円です。

時価総額を正味流動資産で割ったかぶ1000式ネットネット株指数は0.64になり、現時点でネットネット株に該当しています。

保有する土地には、大阪市中央区安土町の高換金性の資産があり、実勢価格は帳簿価額を大きく上回っている可能性があります。その場合は、安全域の拡大に寄与することになります。

NNWC式でも、ネットネット株指数が1.0を下回っています。

NetCash
NetQuick6.41
NCAV3.24
NNWC0.99
かぶ1000式0.64

③バリュートラップの危険性

2016年以降、ほぼ常に、ネットネット株指数が0.66以下で推移しています。

花王株が低迷している影響と思われますが、正味流動資産は減少傾向が続いています。

④売上高・営業利益・BPS

売上高は横ばい傾向です。

営業利益の推移を見ると、減少傾向にあります。

2014年以降、BPSは1.89倍に成長しています。

⑤ROE

ROEは3%台で低めで推移しています。

当期純利益率を見ると、2016年の上場以降、最終黒字を維持しています。

⑥キャッシュフロー

営業CFもフリーキャッシュフローもマイナス圏に転落する年度が見られます。

キャッシュフローが不安定であるため、積極的な株主価値向上策を期待することは難しそうです。

⑦配当

上場以降、減配年度はありません。予想配当利回りは3.68%です。

その他

買収防衛策は導入されていません

光通信が9.5%まで株式保有割合を増やしている点に注目です。

一方、海外投資家割合は3%に留まっており、直近の株主総会決議での賛成割合は97%を超えていることからアクティビストの介入余地は乏しそうです。

まとめ

有価証券を多く有するかぶ1000式ネットネット株です。質の高い土地も保有しており、安全域の拡大に寄与しています。保有株式の低迷により資産価値が毀損する可能性がありますが、押し目で丁寧に拾ってゆくなら、損失の可能性は乏しい銘柄だと思います。

今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。

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