ネットネット株の常連銘柄に大森屋(2917)という東証スターンダード銘柄があります。
大森屋は、のりを製造販売企業で、コンビニ向けの加工のりで高シェアを誇っています。
鈴木杏樹さんのCMでも有名な大森屋です。
この大森屋は、ネットネット株投資家として、購入できる銘柄なのでしょうか?
以下の6つの視点で、考えてみました。
目次
当企業の流動資産の内訳を見ると、棚卸資産が41%を占めており、流動資産の質に注意が必要です。



負債の内訳を見ると、有利子負債は13%です。借入利率は0.28-0.29%で健全な水準です。また、有利子負債自己資本比率は、4.72%で問題ありません。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は73.5億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.52になり、現時点でネットネット株に該当しています。



また、流動資産外では、1.2億円規模の土地を大阪市や東京都練馬区に保有しています。また、セブン&アイHD株など15銘柄4.2億円規模の投資有価証券を保有し、安全域を広げています。
NNWC式でもネットネット株指数が1.0を下回っています。
NetCash | – |
NetQuick | 1.44 |
NCAV | 0.52 |
NNWC | 0.76 |
かぶ1000式 | 1.28 |
2016年以降、ほぼ常にネットネット株に沈んでおり、バリュートラップに陥っているように見受けられます。



NCAVは拡大傾向にあります。



売上高は、150-180億円前後で横ばいで推移しています。



営業利益は1997年以降、赤字に転落したことはありませんが、緩やかな下降トレンドをたどっています。



BPSは過去10年間に15.0%拡大しています。



ROEは7%を超える水準に達していません。



純利益率は1%程度の水準で推移しています。しかし、1998年以降、2015年を除いて、最終赤字を計上していない点は評価できます。



営業キャッシュフローがマイナスに転落する年や、フリーキャッシュフローがマイナスに転落する年度が多くあります。



このようにキャッシュフローが不安定であるため、配当や自社株買いなどの安定した株主還元策を期待することは難しそうです。
1997年以降、安定した配当支払実績を持っています。配当利回りは1.88%です。



買収防衛策は導入されていません。
海外投資家の保有割合は0.5%程度であり、アクティビストの介入余地は乏しいように思われます。
ネットネット株指数的には割安です。流動資産内に棚卸資産が多く含まれている点は注意が必要ですが、NCAV・BPSは上昇傾向にあり、安定して利益を出している点は評価できます。
動きの乏しい銘柄ですが、ネットネット株の中では珍しい食品株としてポートフォリオに組み入れてみても面白いかもしれません。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。