【最新】金利で測る現在の投資環境について

2020年のコロナショック以降、堅調な相場展開が続き、日経平均株価指数も27,000~30,000円前後の高値圏で推移しています。そのため、そろそろ株式相場に変調が見られてもけっして意外ではありません。

私がポートフォリオの大半を組むグレアム式のネットネット株銘柄の多くは、ある程度の軟調な相場展開が続いても、底堅い動きをしてくれることを期待できます。

とはいえ、有利子負債が多い銘柄や不動産銘柄、含み資産銘柄は、景気後退の影響を強く受ける可能性があります。

そこで、いざという時に適切な銘柄入れ替えができるよう、最低限の金利動向チェックは行っておいたほうが良いと考え、以下の点を定期的にチェックしています。

①米国政策金利が上昇していないか?

1つ目にチェックするのは、米国政策金利(FF金利)です。政策金利が上昇(金融引き締め)すると、市中に出回るお金は減り、ローン利率などは上がるため、不動産企業や有利子負債の多い企業は負の影響を受けることになります。

反対に、政策金利が下降(金融緩和)すると、市中に出回るお金は増え、ローン利率などが下がるため、不動産企業や有利子負債の多い企業の業績は上がりやすくなります。

ここでは、米国政策金利(FF金利)が1年前と比較して、0.25ポイント以上上昇していないかを確認します。

1年前と比較して、0.25ポイント以上、上昇している場合は、要注意ということになります。

上記グラフは、2016年以降の米国政策金利(FEDFUNDS)、前年同月比のポイント差を示したものですが、最新のデータでは1年前と比較して0.01ポイント下降しているため、全く問題ありません

②長短金利差が縮小、逆転していないか?

2番目にチェックするのは、長短金利差です。短期金利は金融政策によって変動しますが、長期金利は景気の影響を受けて変動する傾向があります。そのため先行して動く長期金利の上昇が止まり低下すると、短期金利との金利差が縮小したり逆転したりすることがあります。この長短金利差の縮小が景気減速のサインとなるケースが多くあります。

ここでは、米国10年債利回り(長期金利)と米国政策金利(短期金利)の金利差を確認し、縮小したり逆転したりしていないかをチェックします。

金利差が1.0未満に縮小していたり、0.0以下となり逆転していたりすると、要警戒です。

最新のデータでは長短金利差は1.65となっており、大きな問題は見られません。

③社債スプレッドが拡大していないか?

3番目にチェックするのは、社債スプレッドです。社債スプレッドとは、社債利回りから国債利回りを差し引いた数値のことです。

景気後退局面では、企業に対する銀行の融資姿勢が厳しくなるため、社債利回り(資金調達コスト)が高くなり、社債スプレッドは拡大することになります。

ここでは、社債スプレッド(BAA10Y)から10年国債利回りを差し引いた数値が1年前と比較して拡大していないかをチェックします。

拡大している場合は、景気後退局面を迎えつつある可能性が高まります。

最新のデータでは、前年比の社債スプレッドは▼0.68と縮小しており、大きな問題はありません

まとめ:

現時点では、①米国政策金利(短期金利)は低下傾向にあり、②長短金利差は拡大傾向にあり、③社債スプレッドも縮小傾向にあります。

金利は「炭鉱のカナリア」と言われるほど経済の変調に敏感ですが、①政策金利、②長短金利差、③社債スプレッドという3羽のカナリアは元気なさえずりを聞かせてくれている状況です。

したがって、グレアム式のネットネット株に加えて、投資有価証券を多く含むかぶ1000流ネットネット株や含み資産株を保有することは合理的な投資判断と言えそうです。

とはいえ、おなじみのシラーPERは38.70に達しており、米国株は非常に割高であることを示しています。

シラーPERが現在よりも高い水準であったのは、1870年以降で、1990年代後半のドットコムバブルの時しかありません。

したがって、いずれかの金利に変調が生じた場合には、相応の暴落相場に直面することは覚悟しなければなりません。

そこで、全金融資産の50%は現金で保有していたいと思いますし、今後も定期的に「炭鉱のカナリア」とも呼ばれる金利動向に注意を向け、わずかでも変調が見られたならば、かぶ1000式ネットネット株や含み資産株からグレアム式のネットネット株に銘柄を入れ替えたり、キャッシュポジションをさらに増やすことを検討したいと考えています。

今回もお読みくださり、どうもありがとうございます。

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