ネットネット株の1つに大阪製鐵(5449)という東証1部銘柄があります。
この大阪製鐵は1/31(月)、22年3月期第3四半期決算を発表しました。昨年同期比で、売上高が34.6%の増収、営業利益は2.7倍の増益を計上しました。また、未定だった今期の年間配当を20.5円(前期は7円)とすることも発表しました。
この大阪製鐵は、ネットネット株投資家として、引き続き保有継続できる銘柄なのでしょうか?
この記事では、次の7つの視点をチェックしてゆきます。
目次
大阪製鐵は、日本製鉄系の電炉の中核企業です。一般形鋼で国内首位、エレベーター用レールでも高シェアを誇る鉄鋼メーカーです。
したがって、不動産業や金融業銘柄ではありません。
この記事では、比較対象銘柄として、日本製鉄系の電炉大手の合同製鐵(5410)と、独立系電炉大手の東京製鐵(5423)を取り上げます。
当企業の流動資産の内訳を見ると、預り金を含む現金預金が46%を占めており、安定的です。
海外売上高比率は29.9%ですが、売上債権の割合は18%に留まっていることから、大きな懸念点ではありません。



負債の内訳を見ると、有利子負債は44%に達していますが、有利子負債自己資本比率は6.88%で問題のない水準です。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は732億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.66になり、現時点でネットネット株に該当します。



NCAVの対象外ですが、投資有価証券についても確認すると、小野建設などの上場企業の株式を保有しています。



NNWC式でも、ネットネット株指数が1.0未満になっており、割安であることを示しています。
NC | – |
NQ | 1.99 |
NCAV | 0.66 |
NNWC | 0.87 |
かぶ1000 | 1.94 |
ESTATE | 1.93 |
2019年以前は、ネットネット株指数が1.0を上回って推移しており、指数の回帰性に期待を寄せることができそうです。



NCAVは、緩やかに目減りしています。



売上高は、2017年以降、上昇傾向をたどっています。



類似企業を比較すると、大阪製鐵がもっとも順調に推移しています。



2001年以降、営業黒字を維持してます。



類似企業の営業利益率と比較すると、他メーカーよりも高い営業利益率を維持しています。



BPSは、過去10年間に28.5%上昇しています。



ROEは、好況期には軽く7%を超過しています。資本効率の課題をデュポン分解して探ってみます。



2001年以降、最終黒字を維持している点は評価できます。



総資産回転率は0.4回程度です。



財務レバレッジは1.3倍程度です。



営業キャッシュフローは大半の年でプラスを維持していますが、シクリカル銘柄ゆえにフリーキャッシュフローは不安定な推移を示しています。



シクリカル銘柄であるため、好況期には増配や自社株買いなどの株主還元策を期待することができますが、不況期には株主価値向上を図るための施策を期待することは難しい銘柄です。
実際、増配と減配を繰り返しています。今期の配当利回りは1.74%です。



現在の株価は、過去3年間の最安値から17.3%上昇しており、安値圏ではありますが、底値圏とは言えません。



日本製鐵が60.6%の株式を保有しており、親子上場解消期待銘柄です。
買収防衛策は導入されていません。
また、海外投資家の割合は8.7%に留まっていますし、株主総会の取締役会提案の決議事項は90%以上の賛成票を得ており、アクティビストの介入余地がほとんどありません。
電炉メーカーであるため、電力費高騰は収益悪化要因になるため、注意を要します。
現時点でネットネット株に該当しています。流動資産は預り金を含む現預金が半分以上を占めており、安定的な資産内容です。
NCAVがやや減少傾向にあることは気がかりですが、売上高・営業利益・BPSは目立って減少しているわけではありません。
ROEとキャッシュフローは、シクリカル銘柄ゆえに変動が大きいですが、株価は過去3年間の安値水準で推移しています。
個人的には、親子上場解消の期待がかかる銘柄として保有を継続してきましたが、ネットネット株の中ではボラティリティーが高く、低収益・低配当であることから、他の銘柄との入れ替えも検討してゆくつもりです。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。