かぶ1000式ネットネット株候補の1つに丸尾カルシウム(4102)という東証2部銘柄があります。
丸尾カルシウムは、2月8日に2022年3月期3Q決算を発表しました。昨年同期比で、売上高が7.5%の増収、営業利益が2.5倍の増益を計上しています。
この丸尾カルシウムは、最新の財務内容から、ネットネット株投資家として保有継続できる銘柄なのか、調べてみたいと思います。
2月8日の終値1,388円を基準として、以下の7つの要素を1つずつ確認してゆきます。
目次
丸尾カルシウムは、工業用カルシウム専業メーカーです。
したがって、個人的に投資対象から外している不動産業・金融業銘柄には該当しません。
この記事では、丸尾カルシウムの同業他社として、建材・工業薬品メーカーの神島化学(4026)、石膏ボード大手メーカーのチヨダウーテ(5387)と比較します。
当企業の高換金性資産の内訳を見ると、売上債権が多く保有されています。しかし、海外売上高は20%程度であるため、特に大きな懸念点ではありません。



この有価証券には、日本ペイントの40.6万株など、367億円が含まれています。






負債の内訳を見ると、有利子負債が33%を占めています。有利子負債自己資本比率が24.95%でやや高めです。



流動資産から総負債を除いた正味流動資産は48.7億円です。



時価総額を正味流動資産で割ったかぶ1000式ネットネット株指数は0.67になり、現時点でネットネット株に該当していないとはいえ、割安な水準です。


また、他の高換金性資産として、兵庫県その他の地域に賃貸商業用土地や賃貸住宅を所有しており、賃貸不動産の時価は11.7億円に達しています。
この含み資産を加味したネットネット株指数は0.58となり、非常に割安です。
NetCash | – |
NetQuick | 2.76 |
NCAV | 1.37 |
NNWC | 0.76 |
かぶ1000式 | 0.67 |
NetEstate | 0.58 |
2019年以前は、ネットネット株指数が1.0以上に達しており、ネットネット株指数の回帰性に期待できそうです。



丸尾カルシウムの正味流動資産は増加傾向にあり、バリュートラップに陥っている可能性は乏しそうです。



売上高は微増傾向です。



丸尾カルシウムは、類似業2社に水をあけられています。



営業利益の推移を見ると、2010年以降は営業黒字を維持しています。



類似業2社と比較すると、神島化学には水をあけられています。



過去10年間のBPSは、2.03倍に成長しています。



ROEは好況期に7%程度に達しています。その理由を探るため、資金効率の内容をデュポン分解してみます。



当期純利益率を見ると、2010年以降、最終黒字を維持しています。



一方、総資産回転率は0.7回を切っています。



財務レバレッジは1.8倍程度です。



経営陣はROEの目標を8%に設定していますが、そのためには純利益率の改善が必要です。
2000年以降、営業CFはすべての年でプラスを維持しています。
また、フリーキャッシュフローは2016年以降、プラス圏をキープしています。



キャッシュフローが比較的安定しているため、業績が上向けば積極的な株主価値向上策を期待することができそうです。
1998年以降、無配年度はありません。



配当利回りは2%前後で推移しています。



買収防衛策は導入されていません。
海外投資家割合は1.6%に留まっていることにくわえ、直近株主総会決議の賛成割合は99%を超えており、アクティビストの介入余地は乏しそうです。
一方、創業家で社長の丸尾治男氏は保有数を増やしており、1,300円前後の水準を割安と考えている可能性があります。
高換金性資産に投資有価証券を多く含むかぶ1000式ネットネット株候補の銘柄です。比較的、売上債権や負債が多いなど気になる点もありますが、含み資産を含めるとネットネット株水準にあり、非常に割安と言えます。
正味流動資産や売上高、BPSは増加傾向にあり、好況期にはROEが7%を超えることもあります。
キャッシュフローも安定しており、業績が改善されれば、株主価値向上策の導入にも期待が持てます。
個人的には、当面ホールドしておきたい銘柄です。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。