6月10日時点でのNCAV式・NNWC式・かぶ1000式ネットネット株にSECカーボン(5304)という東証スタンダード銘柄があります。
SECカーボンは独立系の炭素製品専業メーカーで、以下のようなカーボン(黒鉛)を用いた炭素製品を製造しています。
- アルミニウム製錬用カソードブロック(世界トップシェアで、アルミニウム精錬工場の電解炉の陰極として使用される)
- 人造黒鉛電極(大型の電気製鋼炉に使う30インチ前後の太い黒鉛電極)
- 特殊炭素製品
- ファインパウダー/高純度黒鉛粉末
主要取引先は、
- 住友商事
- 三菱商事
ですが、海外売上高は62.6%に達しています。
このSECカーボンは、最新の財務内容でも、ネットネット株投資家としてホールドできる銘柄なのでしょうか?
この記事では、以下の7つの視点から検討してみました。
目次
当企業の資産内訳(NNWCの計算式適用後)を見ると、224億円分の現預金を保有しており、安定的な資産内容です。



負債の内訳を見ると、リース債務を除く有利子負債はありません。



高換金性資産から総負債を除いたNNWC(正味流動資産)は374億円です。



時価総額をNNWCで割ったネットネット株指数(P/NNWC)は0.55になり、NNWC式ネットネット株に該当しています。
過去6年間のNNWCの推移を見ると、着実に積み上がっています。



また、ネットネット株指数は、過去6年間で最も割安な水準に達しています。
2019年以前は、ネットネット株指数1.0以上を回復しているため、株価の回復によりネットネット株指数が回帰することを期待できます。



売上高の増減は激しいものの、長期的には上昇トレンドで推移しています。



営業利益は2016,2017年以外で黒字を維持しており、本業での儲けを出しています。



BPSは、過去10年間で1.72倍に成長しています。



ROEは、好況期に7%を超える水準に達しています。



過去24年間に4回の最終損失を計上しています。



2000年以降、営業キャッシュフローはプラスを維持しています。
また、2013年以降、フリーキャッシュフローもプラスを維持しています。



このようにキャッシュフローが安定しているため、増配や自社株買いなどの安定した株主還元策を期待したいところです。
1999年以降、無配に転落した年はありません。現在の配当利回りは3.95%です。



工場は分散されており、災害に対して脆弱であるようには見受けられません。
過去3年間で最も割安な株価水準に位置しています。



買収防衛策は導入されていません。
海外投資家の株主割合は6.2%であり、直近の株主総会決議の賛成割合は93%を超えているため、アクティビストの介入の気配はありません。
現金預金が厚く、有利子負債のない財務的に安定したネットネット株です。分散された投資有価証券を保有しており、良質な資産バリュー銘柄と言えそうです。
売上高・営業利益・BPS・NCAVともに上昇基調にあり、ROEやキャッシュフローも比較的良好です。配当利回りも高めであり、ネットネット株の中では優良な銘柄と言えます。
したがって、最新の財務データで確認しても、依然として下値余地は乏しく、安心して保有できる銘柄と言えそうです。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。