こんにちは、しーげる(@siegel)です。
ネットネット株の1つにイワブチ(5983)というJASDAQ銘柄があります。
イワブチは、2月10日に2022年3月期3Q決算を発表し、売上高は昨年比7.5%の増収、営業益は15.9%の増益を計上しました。
このイワブチは、ネットネット株投資家として、ホールドできる銘柄でしょうか?
下記の購入基準に該当するか、1つずつ確認してゆきます。
目次
イワブチは、電力架線用金具や交通信号用金具で圧倒的なシェアを誇るメーカーです。情報通信関連にも展開しているため、防災・台風関連銘柄だけでなく、4K・8Kテレビ関連銘柄として注目を集めることもあります。
したがって、不動産業や金融業銘柄ではありません。
この記事では、比較対象銘柄として、架線金物大手の大谷工業(5939)と電力鉄塔の大手で架線金物も扱う那須電機鉄工(5922)を取り上げてゆきます。
当企業の流動資産の内訳を見ると、現預金が55%を占めており、安定的です。



負債の内訳を見ると、有利子負債は9%に留まっています。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は93.4億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.61になり、現時点ではネットネット株に該当しています。



続いて、保有する土地を確認します。



このように松戸、大阪、名古屋、札幌、仙台とまずまずの立地環境の土地を保有しており、高換金性を有するとみなすことができます。
また、投資有価証券も次の表にあるとおり、大きな問題はありません。



このような資産内容であるため、他の計算式でもNetCash式以外では、ネットネット株指数が1.0を下回っています。
Net Cash | 1.66 |
Net Quick | 0.83 |
NCAV | 0.61 |
NNWC | 0.61 |
かぶ1000式 | 0.70 |
Net Estate | 0.55 |
2020年初頭には、ネットネット株指数が1.0を上回っており、指数の回帰性に期待を寄せることができます。



NCAVは順調に積み上がっています。



売上高は低迷しています。



類似企業と比較すると、いずれの企業も売上高が低迷し、苦戦しています。



営業利益は黒字を維持しているとはいえ低下傾向にあり、「経済的な堀」が埋まりつつあります。



類似企業の営業利益率と比較すると、2010年以降は大きな違いは見られません。



BPSは過去10年間で25.6%程度成長しています。



2006年以降は、好況期でも、ROEが7%を超えることはありません。資本効率の課題をデュポン分解して探ってみます。



過去24年間に一度も最終損失を計上していない点は評価できます。



総資産回転率は低水準で、0.5回程度に留まっています。



財務レバレッジは1.2倍程度で推移しています。



純利益率は低下傾向にありませんので、総資産回転率の向上により、ROEの改善を目指してゆきたいところです。
営業キャッシュフローはプラスで推移していますし、フリーキャッシュフローもプラスの年度が多くなっています。



キャッシュフローが安定しているため、株主価値向上策を期待したいところです。
1998年以降、無配に転落した年はありません。



配当利回りは3%台後半で推移しています。



買収防衛策は導入されていません。
海外投資家の割合は4.2%に過ぎず、直近株主総会の賛成割合も94%以上であるため、アクティビストの介入余地は少ないように思われます。
とはいえ、自社取引先持株会や自社従業員持株会が保有数を増やしており、関係者は今後の業績をポジティブに捉えている可能性があります。
キャッシュリッチなNCAV型のネットネット株です。豊富な現預金だけでなく、土地や投資有価証券などの良質な固定資産も保有しているため、数値以上に安全域の厚いネットネット株と言えそうです。
売上高や営業利益、ROEは低迷していますが、正味流動資産やBPSは拡大していますし、安定的なキャッシュフローを有しているため安心して保有できる銘柄です。
有利子負債が少なく、過去24年間で最終赤字を計上した年はなく、比較的配当利回りが良いため、暴落相場においても底固く推移してくれることを期待しています。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。