スイスフランと金を購入した理由(1)

株式ポートフォリオの54%をキャッシュポジションにしており、そのほとんどを円で保有していました。

しかし、連休初日の2月11日、キャッシュポジションの大半をスイスフランと金ETF(IAU)に切り替えました。

今回の記事では、CPを円で保有しないことに決めた2つの大きな理由をご紹介します。

円を売却した理由①資産全体の通貨分散を図るため

どんな投資の教科書にも、「時間の分散」と共に「通貨の分散」を図ることを推奨しています。

現在のネットネット株ポートフォリオは、全て日本株であるため、キャッシュを円で保有していると、ポートフォリオ全てを円資産で保有していることになります。

しかも、株式ポートフォリオ以外の以下の資産を全て円で保有しています。

  • 預貯金
  • 不動産
  • (今後退職まで数十年間支払われるだろう)給与債権
  • (退職後に支払われるだろう)公的年金受給債権

円のみで保有する現状は、通貨分散の観点から望ましくないと考え、株式ポートフォリオのCP部分を円で保有しないことにしました。

円を売約した理由②日本の財政問題が深刻であるため

大雑把に言えば、円は「株式会社 日本国」という会社の債券のようなものです。「株式会社 日本国」という会社の財務内容はどのようなものなのでしょうか?

1月25日に、財務省は令和2年度の決算書とも言える「国の財務書類」を公表しました。ぜひご一読ください。

この中に政府の次のような貸借対照表が載せられています。

令和2年度「『国の財務書類』のポイント」

この貸借対照表の幾つかのポイントを見て、「株式会社 日本国」への全力集中投資(=資産の全てを円で保有すること)はやめよう、という気持ちになりました。

ポイント①債務超過

負債合計が1376兆円に対し、資産合計が720.8兆円であり、655兆円の債務超過に陥っています。

上場企業の場合、1年以内に債務超過を解消しなければ上場廃止になりますが、「日本国」という会社は、記録が整った平成15年以降、17年間も債務超過状態にあり、その額は膨らむ一方です。

常識的に言って、17年間も債務超過状態の続く企業の債券は安全資産と言えません。

もっとも、企業と徴税権を持つ政府は異なる上、債務超過状態にない政府は稀です。

この655兆円という債務超過額は徴税権の価値とも言えるのですが、同時に将来の日本国民の負担額でもあるため、見過ごすことのできない数字です。

ポイント②資産には、性質上他の財源に充てられないものが含まれている

資産の内容を見ると、

  • 有価証券(独立行政法人が保有する株式) 119.7兆円
  • 貸付金(独立行政法人や外郭団体への貸付金) 120兆円
  • 運用寄託金(将来の年金給付財源として保有している保険料の積立金) 112兆円
  • 出資金(独立行政法人の出資金や政策的に国に保有義務のある株式) 83.4兆円

合計で434兆円が含まれています。

しかし、資産に計上されている434兆円(資産全体の60.2%)は、その性質上、換金処分して他の財源に充てることは困難です。

ポイント③有形固定資産が簿価で計上されている

資産に計上されている有形固定資産の191.3億円(資産全体の26.5%)は時価ではなく、簿価です。

資産バリュー投資家の習性上、簿価で計上されている有形固定資産は含み益を期待してしまいますが、政府の有形固定資産が持つのは巨額の含み損です。

というのも、有形固定資産の中身は、土地、山林、建物、工作物などの公共用財産などです。

道路やトンネルを払い下げても買い手は現れないでしょうし、買い手がいなければ、簿価はあっても金銭価値があるとは言えません。

企業のPBRやネットネット株指数を算出する際には、原則として資産を時価に評価して負債から差し引きますが、どういうわけか政府のバランスシートでは、資産が簿価のままになっています。

したがって、「日本国」という企業の有形固定資産は191兆円も見込むことは到底できません。それどころか、巨額の維持費を要し、負債の側面さえ持つものです。

ポイント④公的年金の「過去勤務債務」が負債部門に計上されていない

このバランスシートには、1000兆円をはるかに超える公的年金の「過去勤務債務」が計上されていません

政府には、国民が保険料を払う限り、公的年金として支払う義務を負っています。

企業は、支払予定の「退職給与引当金」を負債として計上しなければなりません。

しかし、政府は1000兆円を超える公的年金の「過去勤務債務」を計上していません。


このように、「日本国」という企業は、①幾十年にもわたり「債務超過」状態が続いています。720兆円の資産が計上されているものの、②434兆円(60.2%)は他の財源に充てることが不可能な資産であり、③有形固定資産(26.5%)は簿価で計上された換金性のないものです。

そのうえ、④1000兆円を超える公的年金の「過去勤務債務」が負債として計上されていません

「資産を大きくし、負債を小さくする」処理が施された、これぞ「粉飾」というバランスシートに仕上がっています。

資産としてまともに計上できるのは、現金・預金の69.5兆円、未収金の12.7兆円、前払費用の3.7兆円、その他の資産の9.3兆円の合計95兆円程度(資産の13%程度)です。

一方、負債は公的年金の支払債務を含めて2400兆円規模になり、債務超過額は2300兆円を超える規模になると考えることができます。

仮にこのような粉飾をしている企業の発行する債券があったとしても、安全資産として購入するようなことは決してしないはずです。

まとめ

このように①資産全体の通貨分散を図り、②日本の財政問題を考慮して、安全域を確保する観点から、株式PFのキャッシュポジションを円で保有することを控えることにしました。

それにしても、なぜスイスフランと金を選んだかについては、改めてご説明したいと思います。

本日もお読みくださり、どうもありがとうございました。

1 COMMENT

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください