資産バリュー投資の「守」

こんにちは、しーげる(@siegel)です。

剣道や茶道などで、修業における段階を示す言葉に「守・離・破」というものがあります。

「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。

「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。

「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。

バリュー投資として成長するためにも、この「守・離・破」という段階を踏むことは不可欠です。

資産バリュー投資の「守」とは

資産バリュー投資家にとっての「守」は、ベンジャミン・グレアムの『証券分析』に網羅されています。

多くの場合、『証券分析』に立ち返り、資産価値に関する章の幾つかを読み直すだけで、基本的な型を確認することができます。

ここで、資産バリュー投資がどうあるべきかを説明する幾つかの記述を引用してみます。

まず、清算価値の定義から。

企業の清算価値という言葉は、企業主が かりに解散を望んだ場合に企業から引き出せるであろうお金という意味で使っている。彼らは他者に、企業の全部または一部を、継続企業ベースで売ろうとするかもしれない。あるいは、さまざまな各資産について最良の条件に出合うまで時間をかけ、資産をばらばらにして現金化しようと考えるかもしれない。

『証券分析』43章

本来、資産バリュー投資家が「価値」を考えるとき、上述のケースを念頭に置いています。

資産バリュー投資家は、この「価値」と価格の差を計算し、投資の是非を判断しますが、この投資法のデメリットは次のようなものです。

このカテゴリーに属する普通株は、実質的に常に不満足な収益トレンドを描いている。

『証券分析』43章

資産価値を下回って取引されている投資対象銘柄は、一般的に収益が低く、資本コストを支払うことができない、という大きな欠点があります。

しかし、NCAV(正味流動資産)を下回る株式には、株価を上昇させる多くの潜在的なカタリストがあり、次のような例が挙げられています。

1.自社の資産に相応する収益力の創出

 a.業界環境の全体的な改善

 b.場合によっては経営陣の交代を含む、経営方針の望ましい変化。変化とは、効率性の向上、新製品、不採算部門の切り捨てなど。

2.企業の売却あるいは合併。理由は、別の企業が資産を有効活用できるので、少なくともその資産を清算する以上の利益を上げることが可能になるから。

3.完全な、あるいは部分的な清算。

『証券分析』43章

こうした株式の多くは安価であるものの、注意点があります。

とはいえ、証券アナリストはこういった証券を選ぶに当たって、識別力をフルに駆使しなければならない。アナリストは、先に挙げた望ましい変化のいずれかが近々起こると思える証券を好ましいと思うだろう。あるいは、流動資産のポジションに加えて、満足のいく当期利益や配当、過去の高い平均収益力などといったデータ上の美点を備えた証券を特に好むかもしれない。また、当座資産が急速に目減りしてきていてそれが止まる明白な兆しがない証券は避けるだろう。

『証券分析』43章

このグレアムの主張から、多くの気づきが得られます。

企業の清算価値は、経営者が企業を清算、または売却した場合に実現される可能性のある価値の大まかな概算です。

清算価値よりも低い株価で推移している多くの企業は、収益的に優れた企業とはいえないため、投資家は、NCAVが成長していないとしても、安定している企業を選ぶ必要が生じます。可能であれば、収益と資産価値の両方を成長させている企業を優先する必要があることは言うまでもありません。

そして、そのような銘柄の選定を行うために、投資家は企業を注意深く調べる必要が生じます。具体的には、経営がある程度適正に行われているか、また、清算価値を十分に下回っているタイミングであるかについても分析する必要があるのでしょう。

投資家として成長するために、こうした資産バリュー投資の「守」の段階を常に意識しておきたいと思っています。

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