こんにちは、しーげる(@siegel)です。
ネットネット株の1つに双葉電子工業(6986)という東証1部銘柄があります。
双葉電子工業は、11月10日に2022年3月期中間決算を発表し、売上高は昨年比14.3%の増収、営業益は20.4億円の損失から7.9億円の損失へと赤字幅が縮小しました。
この双葉電子工業は、ネットネット株投資家として、保有継続できる銘柄なのでしょうか?
この記事では、次の7つの視点で確認してゆきます。
目次
双葉電子工業は、有機EL事業に注力する電子機器メーカーです。災害支援用などの産業ドローンをソフトバンクと共同開発していることでも知られています。
したがって、不動産業や金融業銘柄ではありません。
この記事では、比較対象銘柄として、電子部品大手メーカーのアルプスアルパイン(6770)とTDK(6762)を取り上げます。
当企業の流動資産の内訳を見ると、現預金が57%を占めており、安定的な資産内容です。



負債の内訳を見ると、有利子負債は4%に留まっています。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は551.1億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.57になり、現時点でネットネット株に該当しています。



2019年以前はネットネット株指数が1.0を上回って推移しており、指数の回帰性に期待することができそうです。



NCAVは2015年以降、減少傾向にあるため、バリュートラップに陥りやすい銘柄と言えそうです。



売上高は減少傾向にあります。



類似企業と比較すると、アルプスアルパインやTDKに大きく劣後しています。



営業利益は2009年以降、マイナスの年も多く出ており、本業での儲けが出ていない状態です。



類似企業の営業利益率と比較すると、双葉電子だけが右肩下がりになっています。



BPSは低下傾向にあります。



ROEは減少傾向にあり、マイナス値になるになることも多くあります。資本効率の課題をデュポン分解して探ってみます。



純利益率もまた、マイナス値を付けることが多くなっています。



総資産回転率は、0.5回程度と低めで推移しています。



財務レバレッジは1.3倍程度に上昇しています。



ROEの改善には、まず純利益率の正転が不可欠です。
営業キャッシュフローはマイナスに転落する年があり、フリーキャッシュフローもマイナスの年度が多くあります。



このようにキャッシュフローが不安定であるため、配当などの安定した株主還元策を期待することが困難です。が、1998年以降、無配に転落した年はありません。



現在の株価は、過去3年間のほぼ底値水準です。



買収防衛策は導入されていません。
アクティビストのシルチェスターが保有していますが、保有株式を減らしつつあります。
海外投資家の余裕割合は22.3%に達しており、直近の株主総会決議の賛成割合が78%程度に留まっているものもあることから、アクティビストの介入余地はありそうです。
売上高や営業利益は低迷しているうえ、資本効率性も悪く、キャッシュフローも不安定であるため、継続的な増配などのカタリストを期待することも困難です。
とはいえ、現預金が豊富で有利子負債が少ないことに加え、株価は過去3年間の底値水準で、ネットネット株指数的にも割安です。
したがって、個人的には、ポートフォリオに組み入れても良いように思える銘柄です。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。