東京ラヂエーター製造(7235)の銘柄紹介 ― マレリ傘下のネットネット株

こんにちは、しーげる(@siegelist1)です。

ネットネット株の中に東京ラヂエーター製造(7235)という東証2部上場銘柄があります。

8月6日、東京ラヂエーター製造は、22年3月期第1四半期(4-6月)の決算を発表しました。売上高は昨年同期比で39.9%の増収、営業益は昨年同時期の3.6億円の赤字から1.7億円の黒字へと転換しました。

この東京ラヂエーター製造は、ネットネット株投資家として引き続き魅力的な銘柄なのでしょうか?

以下の5つの要素を1つずつ確認してみます。

①業種

東京ラヂエーター製造は、マレリ傘下のトラック・建機向け主体の熱交換器メーカーです。主な取引先はいすゞ自動車です。

したがって、個人的に投資対象外としている不動産・金融銘柄ではありません。

この記事では、東京ラヂエーターの同業他社として、トヨタ系の熱交換器機メーカーのティラド(7236)と、いすゞ系の自動車プレス部品最大手のプレス工業(7246)を取り上げます。

②企業規模

時価総額は90.1億円で、値動きの軽い理想的な小型株です。

売上高は伸び悩みを見せています。

他社と比較すると、ティラドには大きく劣後しているものの、プレス工業より伸びています。

2001年以降、営業黒字を維持しており、本業での儲けを出し続けています。

とはいえ、同業3社の中では売上高営業利益率がもっとも低く、経済的な「堀」が埋まりつつあるように感じられます。

自己資本は、過去10年間に1.85倍に成長しています。

営業利益率の低さは気になりますが、時価総額・売上高推移・自己資本成長は問題ありません。

③割安性:

流動資産の内訳を見ると、現金預金が48%を占めており、安定的です。ちなみに、この現金預金には、親会社のグループファイナンスに対する預け金が含まれています。

一方、負債では、有利子負債がありません。

流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は138.6億円です。

時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.65になり、ネットネット株に該当します。

続いて、NCAVの過去10年間の推移を見ると、上昇傾向にあります。このような上昇傾向が続けば、株価が同水準でも割安性は増していくことになります。

2019年以前は、ネットネット株指数が1.0(グレー線)を上回って推移しており、指数の回帰性に期待を寄せることができそうです。

しかも、この銘柄が割安であることを示すのは、ネットネット株指数だけではありません。

以下は、有価証券報告書に記載されている土地の帳簿価額です。

第117期「有価証券報告書」

神奈川県藤沢市の本社工場の84,549㎡の土地が11.1億円で評価されていることが記載されています。㎡単価は13,000円程度になります。

しかし、以下の地図の中央部分の東京ラヂエーター製造の敷地部分を見ると、令和2年の固定資産税路線価が43,000円と評価されていることが分かります。

しかも、工場のすぐ東側の住宅地は120,000円以上の評価額になっています。

これは、工業地であれば43,000円程度の評価額だが、周辺の住宅地では120,000円以上の評価額になることを示しています。

仮に、東京ラヂエーター製造がこの土地を工業地として売却する場合、25.2億円の含み資産を有することを意味します。

そして、住宅地や商業地に転換して売却する場合には、なんと92.9億円の含み資産を有することになります。

これは、時価総額90億円前後の企業にとってはけっして小さな額ではなく、非常に割安であることを示しています。

一方、株価は過去3年間の底値圏よりは高い価格帯で推移しています。

出典:SBI証券

株価は底値圏とは言えませんが、ネットネット株指数や保有する土地の資産価値を加味すると非常に割安な銘柄です。

④資本効率性:

ROEは低水準で推移しています。資金効率の問題点をデュポン分解して探ってみます。

当期純利益率は0%台で推移しており、競争優位性の低さを窺わせます。

総資産回転率も悪化傾向にあり、1.0回を割り込んでいます。

財務レバレッジは1.4倍程度に抑制されています。

こうして見ると、競争優位性や価格決定権の問題ゆえに純利益率が非常に低く、そのために資本効率性が低水準に甘んじているように見受けられます。

⑤株主還元

営業CFは安定してプラスで推移しているものの、フリーキャッシュフローはマイナスに陥ることも多く、株主還元余力が乏しいように感じます。

配当実績を見ると、無配の年も見られ、株主還元に積極性を感じられない企業です。

また、配当性向は過去2年にわたり、100%を超えており、継続的な増配余力はなさそうです。

買収防衛策は導入されていません。

なお、この企業の資本関係も要注目です。

東京ラヂエーター製造の株式の40%をマレリが保有していますが、そのマレリは、ニューヨークの国際的投資会社コールバーグ・グラビス・ロバーツの傘下に入るCKホールディングスの完全子会社です。

このような外資が東京ラヂエーター製造を割安水準で放置しておくとは考えにくく、何かしらの動きが見られるように考えています。

この不自然な資本関係に目を向けたAVIジャパン・オポチュニティ・トラストというアクティビストが保有株式を増やし、様々な株主提案を行っている点にも要注目です。

まとめ

株価水準は、過去3年間の底値圏で推移しているわけではありませんが、ネットネット株指数的にも、保有不動産を加味したPBR的にも非常に割安な銘柄です。

企業の資本効率性には改善の余地があるとはいえ、不自然な資本関係の見直しやアクティビストの介入といったカタリストが生じ得る銘柄です。

したがって、個人的には、株価が下がった局面では買い増したい銘柄の一つです。

今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。

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