こんにちは、しーげる(@siegelist1)です。
ネットネット株の中に東京ラヂエーター製造(7235)という東証2部上場銘柄があります。
東京ラヂエーター製造は、マレリ傘下のトラック・建機向け主体の熱交換器メーカーです。主な取引先はいすゞ自動車です。
2月12日に、東京ラヂエーター製造は、21年3月期第3四半期の決算を発表しました。売上高は昨年同期比で▼16.8%の減収、最終益は▼3.6億円の赤字転落となりました。
この東京ラヂエーター製造は、ネットネット株投資家として魅力的な銘柄なのでしょうか?
①割安性・②収益性・③財務トレンド・④下方リスク・⑤テクニカル指標という5本のモノサシを使って、分析してみます。
目次
流動資産の内訳を見ると、現金預金が49%を占めており、安定的です。ちなみに、この現金預金には、親会社のグループファイナンスに対する預け金が含まれています。

一方、負債では、有利子負債がありません。

流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は126億円です。

時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.62になり、ネットネット株に該当します。

しかも、この銘柄が割安であることを示すのは、ネットネット株指数だけではありません。
以下は、有価証券報告書に記載されている土地の帳簿価額です。

神奈川県藤沢市の本社工場の84,549㎡の土地が11.1億円で評価されていることが記載されています。㎡単価は13,000円程度になります。
しかし、以下の地図の中央部分の東京ラヂエーター製造の敷地部分を見ると、令和2年の固定資産税路線価が43,000円と評価されていることが分かります。
しかも、工場のすぐ東側の住宅地は120,000円以上の評価額になっています。

これは、工業地であれば43,000円程度の評価額だが、周辺の住宅地では120,000円以上の評価額になることを示しています。
仮に、東京ラヂエーター製造がこの土地を工業地として売却する場合、25.2億円の含み資産を有することを意味します。
そして、住宅地や商業地に転換して売却する場合には、なんと92.9億円の含み資産を有することになり、実質PBRは0.25にまで低下します。
これは、時価総額70億円台の企業にとってはけっして小さな額ではなく、非常に割安であることを示しています。
売上高は伸び悩んでいます。

当期純利益については、2021年3月期は最終赤字を計上する見込みです。

1999年以降の平均ROEは5.20であり、ネットネット株候補にしては収益性のある銘柄です。

まず、BPS(一株当たり純資産)はしっかり上昇トレンドにあります。

NCAVも拡大傾向にあります。

下図は2016年以降のネットネット株指数の推移を示したものです。
多くの期間でネットネット株指数が1.0未満の水準で推移する万年割安株ですが、コロナショック後の現在の水準は割安と言えそうです。

有利子負債を抱えておらず、財務的にはとても健全な銘柄です。

コロナショック後、大きなリバウンドもなく低迷を続けていますが、30週移動平均線が水平になっており、再度上方に転じることが可能なチャート形状になっています。

ネットネット株指数は0.62で割安なネットネット株であり、保有する土地は過小評価されています。
2021年3月期こそ最終赤字となる見通しですが、BPS・NCAVともに安定して積み上がっています。有利子負債も抑制されており、財務的にも比較的健全であり、テクニカル指標的にも過熱感はありません。
さらに、この企業の資本関係も要注目です。

東京ラヂエーター製造の株式の40%をマレリが保有していますが、そのマレリは、ニューヨークの国際的投資会社コールバーグ・グラビス・ロバーツの傘下に入るCKホールディングスの完全子会社です。
このような外資が東京ラヂエーター製造を割安水準で放置しておくとは考えにくく、何かしらの動きが見られるように考えています。
したがって、個人的には、株価が下がった局面では買い増したい銘柄の一つです。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。