資産バリュー株への投資は、ダウンサイドリスクの少ない投資法でだと言われます。
しかし、値下がりはしないとしても、割安な銘柄がいつまで経っても割安なまま放置される、いわゆる「バリュートラップ」に陥ることがあります。
バリュートラップに嵌ると、長期間にわたり資金を拘束され、投資リターンを下げることになります。
どうすれば、このバリュートラップを避けられるでしょうか?
この記事では、個人的に心がける、バリュートラップを避けるための5つのポイントをご紹介します。
これまで、この5つのポイントに、「カタリストがある」という要素を入れてきました。
しかし、多くの銘柄では、個人投資家が把握できるカタリスト候補を見出だすことができません。一方、カタリスト候補を見出だせても、カタリストトラップに陥っているような銘柄もあります。
つまり、「カタリストがある」という要素は、バリュートラップを避ける上でほとんど機能していないため、今回の記事では、5ポイントから除外することにしました。
目次
バリュートラップを避ける1つ目のポイントは、十分に安全域が確保された割安な銘柄を選ぶことです。
そのうえで、ベンジャミン・グレアムが推奨した、時価総額をNCAV(流動資産から総負債を差し引いた正味流動資産)で割った値が0.66以下、できれば0.50を下回るネットネット株に投資することは非常に効果的です。
残念ながら、ネットネット株指数が0.66以下の株だけに投資していても、バリュートラップに陥ることが多くあります。
そのような株価低迷銘柄の多くは、赤字年度が続くなど、収益性が低い状態が続いています。
したがって、収益性の高い銘柄を選ぶようにしましょう。
過去10年間の損益計算書を確認し、
- 売上高が上昇し、
- 当期純利益が上昇し、
- ROEの平均値が正、できれば5以上である
・・・そんな銘柄に投資したいものです。
時が経つにつれて財務基盤が堅固になっている銘柄は、今後数年間も、バランスシート上の資産が増加する傾向があります。
それで、財務トレンドが右肩上がりの銘柄を選ぶようにしましょう。
具体的には、
- 過去10年間のBPSのトレンドが上向き
- 過去10年間のNCAV(正味流動資産)のトレンドが上向き
・・・という銘柄を選ぶことで、株価が横ばいでも割安性が増してゆく銘柄に資金を投じることができます。
このたびのコロナショックのような予期しない事態が生じたときに、企業が過度の負債を抱えていると、経営危機に陥り、バランスシート上の資産が毀損してしまうことがあります。
そこで、過度の負債を抱えていない、下方リスクのない銘柄を選ぶことも大切です。
個人的には、
- 有利子負債自己資本比率が20%未満であること
- 流動比率が150%以上であること
を条件に投資対象にしています。
バリュー投資では、あまり重視されませんが、購入のタイミングは非常に重要だと考えています。
割安株が「陰の極み」に達した時に購入するなら、リターンを最大化させることができます。
この「陰の極み」のタイミングを図る上で有用なツールがオシレーター指標です。
たとえば、普段、テクニカル系の指標を見ない方でも、RSIなどはご覧になったことがおありかと思います。
以下のチャートは丸八ホールディングス(3504)の月足チャートです。
下段のRSIを見ると、2020年4月から7月にかけて、20を下回り、RSIの指標から見ても割安になっています。
この時期に購入することができれば、現在では100円以上の利益を得ていることになります。
一方、現在は、RSIが60を超えているので、買い時でないことを認識できます。

RSIが20を下回っている2018年8月から2019年5月頃もまた、買い時だったのでしょうか?
RSI的には購入タイミングのように思えますが、当時はネットネット株指数(P/NCAV)が0.66を超過する非ネットネット株でしたので、そもそも購入対象にならないことになります。
ここではRSIを取り上げましたが、他のオシレーター系指標でも十分に役立つと思います。
- 非常に割安で、
- 収益性があり、
- 財務トレンドが右肩上がりで、
- 下方リスクがなく、
- テクニカル的にも割安である
このように①~④のファンダメンタルズ的要素で投資対象を決定し、⑤のテクニカル的要素で購入タイミングを決定することにより、バリュートラップに陥ることをかなりの程度避けることができます。
同時に、資金効率を上げることができるので、総合リターンを高めることになります。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。