片倉工業 (3001)の銘柄分析 ― 旧財閥系の名門企業は割安か

こんにちは、シーゲル(@siegelist1)です。

資産バリュー株として有名な銘柄に、片倉工業(3001)という東証1部上場銘柄があります。

片倉工業は、ショッピングセンター等の不動産運営・賃貸、自動車部品等の機械製造販売、繊維製品の製造販売を行う企業です。

1920年設立ですから、今年で創業100年を迎える歴史のある、旧財閥系の企業で、世界遺産に登録された富岡工場(富岡製糸場)を一時期操業していたことでも知られています。

片倉工業は、NCAV式のネットネット株ではありませんが、賃貸用商業施設(土地を含む)を有しており、これらの不動産を含めた正味流動資産は時価総額を大きく上回っています。

この片倉工業はネットネット株投資家としてホールドできる銘柄なのでしょうか?

①割安性・②収益性・③財務トレンド・④下方リスク・⑤カタリストという5本のモノサシを使って、分析してみます。

片倉工業の割安性:

片倉工業は、通常のNCAV式ネットネット株(流動資産から総負債を差し引いた正味流動資産で計算)ではなく、含み資産株です。

したがって、棚卸資産を除外し、賃貸等不動産の期末時価を加味した正味流動資産で割安性を判断します。

まず、賃貸不動産を含む換金性の高い資産の内訳を見ると、賃貸用不動産が76%にも達しています。

この賃貸用不動産には、埼玉県さいたま市の「コクーンシティ」や東京都中央区の「東京スクエアガーデン」といった優良物件が含まれています。

一方、負債内訳を見ると、有利子負債は31%に達しています。

換金性の高い資産から総負債を除いた正味流動資産は1168億円です。

時価総額を正味流動資産で割ったネットネット株指数は0.39になり、ネットネット株に該当する割安な銘柄です。

片倉工業の収益性:

現在の株価は、1,300円前後です。

過去10年の中央値付近の株価水準で推移しています。

出典:SBI証券

株価と比較して、収益性はどのような状態にあるでしょうか?

まず、過去10年間の売上高は、低下傾向にあります。

しかし、当期純利益については、過去10年間、黒字をキープしています。

過去10年間の平均ROEは2.22で低水準です。

片倉工業の財務トレンド:

片倉工業の財務トレンドはどのようなものでしょうか?

まず、含み資産を加味しないBPS(一株当たり純資産)は上昇トレンドを描いています。

また、賃貸用不動産を加味した正味流動資産は、2016年以降、右肩上がりです。

とはいえ、直近の株価は上昇しており、この銘柄としては割高になっている可能性はないのか、気になるところです。

そこで、下の図のネットネット株指数の推移を確認します。

過去10年間のネットネット株指数の平均値(期末時点)は0.45であり、0.3~0.6のレンジで推移しています。

現時点での指数は0.39ですから、少なくとも0.5台後半(現時点の資産内容で算定すると1,900円前後)までの上昇は期待できそうです。

片倉工業の下方リスク:

有利子負債自己資本比率は27.6%で、やや高めです。

一方、流動比率は269.7%で問題ありません

また、収益性の高い賃貸不動産の多くは首都圏に立地しているため、首都圏直下型地震などにより不動産に被害が生じた場合、保有不動産の資産価値が大きく毀損する可能性があります。

したがって、財務リスクや災害リスクを考慮に入れると、この銘柄に集中投資するのではなく、分散銘柄の一つとして保有したほうが良いかもしれません。

片倉工業のカタリスト:

機械関連や繊維事業などの赤字部門の縮小を進めていることから、収益性の改善に注目が集まる可能性があります。

また、買収防衛策が未導入であり、10%を超える株式を保有する安定的な大株主が不在であるため、買収の対象になる可能性があります。それを避けるため、経営陣は、増配や自社株買いなど、なんらかの株価対策を取ろうとするかもしれません。

まとめ:

銘柄評価
割安性
(5.0)
収益力
(3.0)
財務トレンド
(4.0)
下方リスク
(2.0)
カタリスト
(3.0)
総合評価
(4.0)

棚卸資産を除外し、賃貸用不動産(時価)を加味したネットネット株指数が0.39と非常に割安です。

過去10年間の平均ROEは2.22で、収益性は低水準です。

正味流動資産は上昇トレンドにあり、株価は上昇していても割安な状態が保たれています。

有利子負債自己資本比率がやや高めで、優良賃貸不動産が首都圏に偏在しているため、一定の財務リスク・災害リスクがありますが、分散された投資対象としては問題ありません。

また、不採算事業の縮小の動きや大株主が不在であることはタリスト候補となります。

こうした5つの観点を総合的に考慮に入れると、個人的には、片倉工業はポートフォリオの一部に組み入れておきたい銘柄です。

今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。

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