こんにちは、しーげる(@siegelist1)です。
本日、2019年9月17日夕方、岩塚製菓(2221)が上方修正を発表しました。
株価に一定の影響を与えることになりそうですので、内容を分析してみました。
目次
発表には、2020年3月期の第2四半期と、通期の業績予想の修正が含まれますが、ここでは通期の上方修正のみ扱います。
(単位:百万円) | 修正前 | 修正後 | 増減率 |
売上高 | 23,600 | 23,600 | - |
営業利益 | 480 | 480 | - |
経常利益 | 1,700 | 2,750 | 61.8% |
純利益 | 1,200 | 1,950 | 62.5% |
修正理由は、Want Want China Holdings Limited(以下、中国旺旺社)からの期末配当金の増額及び特別配当金により、受取配当金が当初見込みを大幅に上回ったため、というものです。
受け取る期末配当金は18億3300万円で、昨年の14億1100万円を大きく上回ります。
売上高予想に変更はありません。

経常利益は大幅に増え、2015年3月期に次ぐ収益が予想されています。

純利益の大幅に増え、2015年3月期を超える2003年以降の最高益が予想されています。

このように経常利益、純利益は過去の実績に照らして、かなり良い数値が見込まれています。
株価にポジティブな影響は与えるニュースであることは間違いありません。
ただし、昨年8月の上方修正発表後の値動きも頭の片隅に置いておきましょう。
2018年8月6日、中国旺旺の期末配当において記念配当が見込まれることによる通期純利益34.8%の上方修正を発表しました。
8月6日の終値は4,945円でしたが、翌7日は上方修正を受けて4,995円で寄り付き、5,060円の高値に達します。ところがその後、値を下げて結局4,975円の前日比30円高で終わっています。
昨年よりはインパクトのある上方修正ですので、そこまで湿った市場の反応ではないと願いますが、この上方修正だけで一気にストップ高が続くような水準訂正は生じない,と考えておいたほうが無難です。
今回の「営業外収益の経常に関するお知らせ」を通して、岩塚製菓は中国旺旺社株式608,434,480株を保有していることが確認できました。
中国旺旺社の株価は、9月17日時点で6.32香港ドルであることから、時価総額は530億6522万1607円(1香港ドルを13.8円で換算)となります。
一方、岩塚製菓の9月17日時点での時価総額は230億8075万円に留まります。

したがって、岩塚製菓が資産として保有する中国旺旺株式は、岩塚製菓の時価総額の2.3倍に達します。
これは、岩塚製菓の株価が中国旺旺株式の株価や配当金に左右される異常な状態にあり、株式市場が岩塚製菓の本業を適正に評価できていない状態にあることを示しています。
そのうえ、わずか230億円程度で中国旺旺社の株式530億円分を手に入れることができるため、岩塚製菓が乗っ取られる危険性はとても高い状態にあります。
岩塚製菓の経営者は、この事態を打開する手っ取り早い方法として、MBOを行い上場廃止にすることを既に検討していてもおかしくありません。
仮に、MBOにより上場廃止になってしまえば、過去3ヶ月程度の平均株価に30%程度のプレミアムが付くだけですから、7,100円を超える水準に達することを期待するネットネット株投資家にとっては、決して望ましい結末とは言えません。
今回の上方修正そのものはポジティブなもので喜ばしいニュースです。
とはいえ、ストップ高が幾日も続くような大幅な株価上昇は期待できず、MBOの可能性を怖れてしまうほどの異常な割安状態は続くことになりそうです。
今回の中国旺旺からの受取配当金の増加をきっかけにして、岩塚製菓の経営者におかれましては、大規模な増配などにより、株価を適正な状態に回復させることに取り掛かっていただきたい、と強く望むところです。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。